2021/03/11【三山春秋】福島県双葉町に開館した…
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 ▼福島県双葉町に開館した「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪ねた。突然襲った地震と津波、それに続いた原発事故を伝える展示の数々。その中にあった1枚のパネルに目が止まった

 ▼「原子力明るい未来のエネルギー」。写っていたのは商店街入り口に設置されたアーチと標語。安全神話は2011年3月11日午後2時46分に三陸沖で発生した大地震で崩れ去った。あの日からきょうで10年になる

 ▼福島県内の原子力被災12市町村のうち、双葉町だけは唯一、いまだに住民の帰還がかなわない。町面積の95%は帰還困難区域。震災前の住民7千人が避難先で暮らす。意向調査に「戻る」と答えたのはわずか10%だ

 ▼町には放射性物質の除去に伴う土壌や廃棄物を保管する中間貯蔵施設が広がる。国は「30年以内に福島県外での最終処分完了を確実に実行する」と約束したが、容易でないことは想像に難くない

 ▼JR双葉駅を中心とした地域では復興の槌(つち)音が響く。町は来年春ごろの避難指示解除・居住開始を目指している。伊沢史朗町長は「元々の住民だけでなく、新たに来る人も共生できる街をつくりたい」と語る

 ▼伝承館は未曽有の災害を経験した福島の記憶を伝え、防災の大切さを訴える。本県には五つの活火山があり、活断層も走る。災害は誰もが当事者になり得る。肝に銘じたい。

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