2021/04/03【三山春秋】天台宗の「千日回峰行」は滋賀県と京都府に…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼天台宗の「千日回峰行」は滋賀県と京都府にまたがる比叡山の峰々を1日約30キロ巡る。足かけ7年に及び、途中9日間断食断水し、眠らず横にもならずにこもる「堂入り」や1日84キロの「京都大まわり」など命懸けの修行が続く

 ▼人や山川草木すべての仏性を礼拝する行だという。前橋市出身の上原行照さんを含め戦後14人が千日の荒行を達成し、大阿闍梨あじゃりの尊称を贈られた

 ▼2月末に73歳で他界した吉沢康夫さん(前橋市)の連続登山も修行のような挑戦だった。経営していたクリーニング店を閉め2015年10月、渋川市の水沢山(1194メートル)に登り始める。60代後半だったが、のんびり登山ではなくタイムを計りながら速足で進んだ

 ▼酷暑や台風、けがをした日も毎日山頂に立ち18年7月、連続千日に到達した。体調に異変があったのは昨夏。1934日目の今年1月24日、雪降る中の登頂が最後になった

 ▼翌日から水沢山で知り合った仲間が回復を信じて交代で登り、3月31日に目標としていた連続2千日の遺志を継いだ(1日付本紙)。当日は青空が広がり、遠くの山々まで見渡せた

 ▼吉沢さんは多くの登山者に慕われたが、口数は少なく記録の自慢や登り続ける理由を語ることはなかった。ただ、「2千日で余力を残してやめるより、限界を迎えてやめる方がいい」と話していたという。言葉通り最期まで限界に挑み続けた水沢の鉄人だった。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事