2021/04/06【三山春秋】「ハンバーグ」「フライパン」…
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 ▼「ハンバーグ」「フライパン」「黒板」。プロサッカー選手の鈴木武蔵さん(27)は小学生の時、肌の色が黒いことで同級生から心ない言葉を浴びた。先月出版した自叙伝『ムサシと武蔵』で打ち明けている

 ▼ジャマイカ人の父と日本人の母との間に生まれ、6歳から太田市で暮らした。いじめを受けて幼い心は傷つき、大好きなサッカーで見返してやろうと思った

 ▼ゴールを決めればチームメートが認めてくれるのがうれしかった。それは自らを守るため、本心を隠してやり過ごす処世術でもあった

 ▼持ち前のスピードで次々と得点を挙げ、桐生第一高3年の時に全国高校選手権で活躍。卒業後にJリーグ入りした。日本代表にも選ばれ、昨年ベルギーのプロリーグに移籍した

 ▼SNSで差別発言を受けたこともある。殻にこもるのではなく、自らに向けられた言葉を冷静に受け止め、思いを述べられるようになったのは最近のこと。妻や母をはじめとする周囲の人が支え、分厚い殻をたたき続けてくれたからだと振り返る

 ▼テニスの大坂なおみ選手、バスケットボールの八村塁選手、陸上競技のサニブラウン・アブデル・ハキーム選手ら日本人アスリートの活躍が目覚ましい。外見や出自など自分と異なるものを否定するのは差別に当たる。多様性を認め合い、多文化共生の大切さが叫ばれるなか、東京五輪・パラリンピックを前に考えさせられた。

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