2021/04/07【三山春秋】庭、畑、道路脇。雑草は…
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 ▼庭、畑、道路脇。雑草はいたるところに生えてくる。手入れをしているはずの花壇に何食わぬ顔で紛れ込んだり、コンクリートのわずかな継ぎ目にしぶとく潜んだりして、草取りはきりがない

 ▼農作物のじゃまをしたり、「望まれないところに生える植物」と定義されたりする厄介者。だが、その生態を知ると見方も少し変わってくる。県立自然史博物館(富岡市)が隙間や隅っこに生きる、たくましくもけなげな姿を紹介している

 ▼絶壁の岩の裂け目は「光を遮る木々がなく、養分の少ない乾いた環境を好む植物には悪くない」。歩道のタイルの目地は「小さい体で素早く花を咲かせ種をつける一年草の世界」。渓流沿いや線路など、自然と人工物のさまざまな隙間に目を向けた

 ▼どうしてわざわざこんな所に、と思う過酷な環境も、他の植物すなわちライバルが入り込みにくいので実は楽園だと聞けば、なるほどと納得する

 ▼踏まれても折れないように茎や葉をはわせる。風で倒れないように周りのものに巻き付く。特性に合う場所を探しながら、生き残るために工夫する姿を知れば知るほどどこか人間と似ているように思え、親近感を覚えてしまう

 ▼「雑草とはその美点がまだ発見されていない植物である」とは米国の哲学者、エマーソンの言葉。「隠れた良さがあるはずなんだけど」と言ってみても、庭の草を放っている理由にはならないか。

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