2021/04/10【三山春秋】伝統ある結社の門をたたき…
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 ▼伝統ある結社の門をたたき、1年前から俳句を始めた。毎月6句を提出するが掲載されるのはずっと2句止まり。頭をひねっても標語のような句しか浮かばず、才能のなさにがっかりする

 ▼俳句は「座の文芸」と言われ、句会に参加してこそ楽しめる。だが新型コロナの昨今はなかなか難しく、リモート句会も多い。筆者は結社の初心者を対象にしたネット句会に参加したが、作品を批評し合うのはやはり刺激になる

 ▼結社とは別に、気の合う仲間で楽しむ場がある。有名なのは1969年に落語家や俳優、評論家らが結成した「東京やなぎ句会」だろう。桂米朝、柳家小三治、永六輔、江國滋らそうそうたるメンバーが集った

 ▼五七五にちなんで毎月17日に開いた。売れっ子たちがその日は仕事を入れず、俳号「変哲」を名乗る俳優の小沢昭一は何よりも楽しみにしていた。「月に1度の句会で精神上のわだかまりをトイレに行くのと同じように俳句で流している」と語っている

 ▼代表作は〈寒月やさて行く末の丁と半〉。色紙を頼まれるとこの句をよく書いた。2009年に桐生市で開かれたイベントに招かれた際は〈絹ずれの音の淡さに桐生春〉と詠んでいる

 ▼著書『俳句で綴る変哲半世紀』(岩波書店)に〈草餅や上毛という新聞紙〉という句を見つけた。来県した際、手にとってくれたのだろう。ラジオで聞いたあの声がよみがえってきた。

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