2021/04/11【三山春秋】タイトルを見て浮かんだのは…
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 ▼タイトルを見て浮かんだのは、前橋の詩人、萩原朔太郎の自筆歌集『ソライロノハナ』と伊藤信吉の郷土地誌『風色の望郷歌』だった。2013年10月、前橋市の美術館「アーツ前橋」で始まった開館記念展「カゼイロノハナ 未来への対話」である

 ▼世界的に評価される朔太郎の創作活動への敬意とともに、地域に根差し、地域の人々と共に創造拠点に育てようという強い意気込みを感じた

 ▼構想段階から多くの曲折があり、その過程で美術館の必要性について真剣な議論が繰り広げられた。試行錯誤の末に決まった第一の特徴は、運営に市民が主体的に参加できる仕組みだった。それが大きな力となり、多彩な展覧会や地域と関わる活動で着実に成果を残してきた

 ▼そんな全国から注目される美術館が危機に立っている。著作権者から預かった作品6点を紛失、館長らが市から訓告処分を受け、館長が年度末に退任した。この事態にすかさず動いたのが前橋の芸術家を呼びかけ人とする「アーツ前橋を応援する会」だった

 ▼美術館の活動を継続・発展させるため、後任館長に現代美術を専門とする人材を選任するよう求める署名運動を始めると、海外を含む市内外から1007人の署名が集まり、要望書とともに市に提出した

 ▼伝わるのは自分たちで支えなければという熱い思いだ。市民参加の蓄積があったからだろう。何よりも途切れないことを切望する。

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