2021/04/13【三山春秋】水がたまってきた…
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 ▼水がたまってきた。雪解け水も流れ込む。完成から1年が過ぎた長野原町の八ツ場ダム湖「八ツ場あがつま湖」の水位から春を感じるようになった。今春、町では小学校2校が閉校し統合した新設校が開校した

 ▼ダム湖は冬の雨不足で水位が低かった分、湖面からかつての道路のガードレールが顔を出していた。水没地区の生活を想像しやすい光景だった。湖に沈んだ地区の子どもが通った長野原一小は、高台に移転したが少子化の影響を受け3月末、111年の歴史に幕を閉じた

 ▼最後の児童数は15人。ダム建設に伴い転出者が増え、過疎化に拍車を掛けたという。「地元から小学校がなくなるのは寂しい」。大人たちの残念そうな声を聞くが、「流水源に返らず」とダム湖に言われている気がした

 ▼春は物事の終わりや始まりがある季節。学校では入学や進級、クラス替えがあり、新しい学校生活をスタートした子も多いだろう。社会人では新たな会社や部署で仕事を始めた人もいる

 ▼ダムに翻弄ほんろうされた長野原一小の最後の日、児童が聖火リレーのサポートランナーを務めた。10歳の男の子は学校が閉校する寂しさよりも「いっぱい友だちができて、いつもより休み時間が楽しくなる」と早くも新設校に目が向いていた

 ▼以前の方が良かったと思っても時は戻せない。新しい環境でできることは何か。前を見ている子どもの言葉に勇気づけられた。

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