2021/05/09【三山春秋】調べごとで行き詰まったとき…
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 ▼調べごとで行き詰まったとき、図書館や博物館などで思わぬ史料に出合い、救われることがよくある。それらが残されているのをつい当たり前だと思いがちだが、実際は 多くの先人が調査研究に力を注いだ結果なのだ

 ▼江戸前期に造られた前橋城大手門の石垣が2月に前橋市の中心市街地で発見され、大きな反響を呼んだ。その調査速報とともに、これまで重ねられてきた前橋城発掘調査の足跡を紹介する企画展が、市粕川歴史民俗資料館で開かれている

 ▼各時代の前橋城のさまざまな絵図が活用された展示を見て実感するのは、過去の研究者たちの熱い思いと、その活動の重要性である

 ▼たとえば1923(大正12)年に前橋市立図書館を事務局に歴史研究者らにより設立された「古前橋研究会」は、史跡、古文書研究のなかで、前橋城に関わる資料を収集し、城絵図の模写も精力的に行った

 ▼大手門跡の迅速な見定めは、そうした積み重ねがあったからこそだと言えるだろう。企画展の担当者は展示解説のなかで、〈研究会の活動なくして今の前橋城研究は成り立ち得なかった〉と指摘している

 ▼遺構がほとんどなく、これまで関心も薄かった。そんな状況が石垣発掘により大きく変わりつつある。市民による「前橋城研究会」が結成され、「見える形での保存」を市に要望。講演会や史跡めぐりなども計画される。この機運をさらに高めたい。

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