2021/05/15【三山春秋】4月下旬、尾瀬を代表する名峰…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 4月下旬、尾瀬を代表する名峰、至仏山に登った。高山植物に恵まれた花の名山でもある。植生を守るため、残雪期に入山できるのは例年、大型連休ごろの10日間ほど。期間限定の景色が登山者やバックカントリーのスキーヤーを引き寄せる

 ▼冬山の装備で鳩待峠を出発し、およそ3時間で山頂に着いた。眼下に尾瀬ケ原が広がり、燧ケ岳が正面にどっしり構える。空の青と雪の白に囲まれた360度の眺望に思わず声を上げた

 ▼優雅なミズバショウ、鮮やかに湿原を埋めるニッコウキスゲ、一面を染め上げる草紅葉。彩り豊かな尾瀬の自然を愛するファンは多い。だが入山者は1996年の約65万人をピークに減少し、近年は“尾瀬離れ”が進む

 ▼昨年は新型コロナの感染拡大を防ぐため入山自粛を求めたこともあり、過去最少の約10万7千人にとどまった。オーバーユースが問題視された時期から一転、尾瀬保護財団は現状を「減りすぎている」と受け止める

 ▼シカが湿原を荒らしたり、花芽を食べたりする被害も深刻で、財団は「植生をしっかり回復させ、訪れた人に満足してもらえる環境づくりが重要」とする。保全と利用のバランスを取りながら盛り返しを図る

 ▼ことしの尾瀬は雪解けが早い。今月末の山開きの式典を合図に、本格的なシーズンが始まる。至仏山の登山道が再び利用できるようになるのは7月。頂からのパノラマは緑に変わる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事