2021/5/26【三山春秋】戦国乱世を生きた真田氏を…
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 ▼戦国乱世を生きた真田氏を題材にした池波正太郎の小説『真田太平記』には、岩櫃(いわびつ)城(東吾妻町)内の「地炉(じろ)ノ間(ま)」と呼ばれる部屋がたびたび登場する。昌幸が草の者(忍び)と密談するなど、真田の知謀を示す秘密めいた場所として描かれている

 ▼地炉ノ間は中城という曲輪にある設定で、そこから二の丸を越えると本丸に着く。物語とはいえ、こうした情景を思い浮かべながら城跡を歩くのも面白い

 ▼岩櫃城はどんな城だったのか-。その姿を探る手掛かりとなる発見があった。本丸跡から出土した坩堝(るつぼ)に金の粒子が付いていた、と町教委が発表した。砂金を溶かし、高度な金属加工を行っていた可能性があるという

 ▼戦国時代の山城の本丸でこうした痕跡が見つかるのは全国でも例がない。文化財保護係の吉田智哉さんは「不思議な行動」と驚く。加工には火と水、風が必要だが、高所の本丸に水はなく、城下や沢から持ってくるにも50メートル以上の標高差を運ぶことになるためだ

 ▼労力を費やしてまで、作業に不利とみられる場所で活動したのはなぜか。その背景に、岩櫃の特性を示すものがあるかもしれないと考える

 ▼城跡はおととし、国指定史跡になった。「町のシンボルでもあり多くの人に興味を持ってほしい」と吉田さん。「従来のイメージにとらわれず、さまざまな可能性を調べながら真の姿にたどり着ければ」と話す。成果を待ちたい。

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