2021/06/10【三山春秋】11歳の少年を主人公にした漫画…
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 ▼11歳の少年を主人公にした漫画『釣りキチ三平』は釣り好きな中高年のバイブルだろう。オニヤンマを餌に釣り上げた夜泣谷の大イワナ、野ネズミを模したルアーで挑んだ北海道のイトウ。登場する外国製の釣り具は釣り少年のあこがれだった

 ▼淡水のコイやヤマメ、海のイシダイやカジキなどさまざまな魚がいる中で、作者の矢口高雄さんが連載第1話に選んだのはアユの友釣り。釣りは活動的なスポーツであることを知ってほしかった

 ▼アユは群馬県の魚に指定されている。水中の石に生える藻をこそぎ取るように食べるため香りが良く、「香魚」とも呼ばれる。塩焼きもおいしいが、内臓を塩辛にした「うるか」も珍味として人気がある

 ▼利根川の鷺(さぎ)石橋(沼田市)周辺に集う釣り人たちの姿を通じてアユ釣りの技などを『鷺石の鮎』(全5巻)としてまとめたのが前橋市の関上義夫さん(89)だ。退職後は趣味が高じて川沿いに家を借り、「おとり鮎」の店まで開いた

 ▼利根川のアユ釣りが盛んだった頃、1日平均50匹、最高で93匹を釣った。「状況を判断して釣るのが面白い。みんなが竿を畳む夕まずめが一番よく釣れるんです」と明かす

 ▼「利根の鼻曲がり」という野性味あふれるアユがかつて利根川の代名詞だった。釣りをやめて久しいが、今も川を見るたびに夢中でアユを追った日々が懐かしいという。今年もアユ釣りの季節が巡ってきた。

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