2021/06/11【三山春秋】落語「幾代餅」はつき米屋の…
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 ▼落語「幾代餅」はつき米屋の奉公人・清蔵が錦絵で見ただけの花魁(おいらん)に一目ぼれしてしまう物語。錦絵の幾代太夫(だゆう)は後光のようなかんざしを挿していた。一瞬で心を奪われた清蔵は錦絵に何を見たのだろう

 ▼後光というと神仏の特別な力を想像するが、最近、後光が見えたのかと目を凝らす場面に遭遇した。オンラインで就活生と向き合ったときである

 ▼背後から漏れる光の加減で、就活生の顔が一瞬輝いたように見えた。コロナ下でオンライン面接が浸透したが、現実との違いを実感した瞬間だった

 ▼上毛新聞がまとめた来春の新卒採用計画アンケートによると、およそ4分の3の企業が選考や説明会にオンラインを導入している。感染リスクを考えると合点がいく数字だが、画面越しに対話する難しさを指摘する人もいる

 ▼政府主導の日程ルールで今月1日に採用面接などが解禁された。実際には人材確保に向けた企業側の動きは進み、すでに大詰めとの声もある。自戒を込め、オンラインを活用するなら、より丁寧に就活生の表情を見るよう企業側に求めたい

 ▼就活生は新型コロナウイルスに振り回され、本意でない学生生活になったはずである。落語「幾代餅」なら「傾城(けいせい)に誠なしとは誰(た)が言うた」と締めの言葉があるが、筆者は残念ながら就活生に贈れるそんな言葉を持ち合わせていない。せめてみんなに良い結果が訪れるよう祈るばかりだ。

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