2021/06/20【三山春秋】父親というのは幼い子どもにとって…
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 ▼父親というのは幼い子どもにとって全幅の信頼を寄せる特別な存在だ。〈父として幼き者は見上げ居りねがわくは金色の獅子とうつれよ〉佐佐木幸綱。たとえ仕事で失敗したり、叱責(しっせき)されようと、わが子にとっては頼もしい父でありたい。誰もが願うことだろう

 ▼この人も家族にとって特別な存在だった。1999年の「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」に輝いた小渕恵三首相である

 ▼授賞式では満面の笑みを浮かべ、「仕事柄、一般家庭の父親のようにはいかないが、3人の子どもは元気に育ち、妻との間も円満」と喜びを語った。当初は「冷めたピザ」と揶揄(やゆ)されたが、温かな人柄が浸透するにつれて支持率は上昇した

 ▼長女・暁子さんの著書『父のぬくもり』は家族だけが知る激務の裏側をはじめ、脳梗塞による入院から逝去までを静かな筆致でつづっていて切ない

 ▼とにかく子煩悩で、子どもを溺愛した。32歳のときに開いた個展会場を訪れ、〈娘というのは掌中の珠のようにかわいいものです〉とあいさつ。体調を崩して寝込むと〈アキコガシンダラパパモシヌー!〉。著書の最後は〈私は父の娘で本当に幸せでした〉と締めくくった。うらやましい相思相愛である

 ▼きょうは「父の日」。現実には子どもとの関係に悩んでいる父親も多いかもしれない。でも少しだけ分かってあげてほしい。お父さんはきっと家族のために頑張っている。

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