2021/06/21【三山春秋】旧国鉄信越線は1885年に高崎―横川間…
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 ▼旧国鉄信越線は1885年に高崎―横川間、88年に直江津(新潟)―軽井沢間が開通した。問題は残る横川―軽井沢間だった。碓氷峠は標高差が553メートルある難所で、一度は鉄道敷設を断念する

 ▼解決したのがドイツの登山鉄道を手本にしたアプト式だ。機関車の歯車とレールの凹凸をかみ合わせる方式で全国屈指の急勾配を克服。太平洋と日本海を結ぶ鉄路が全線開通した。93年のことだ

 ▼戦後最大の国難と言われる険しい峠を前に、こちらの歯車はかみ合うことがなかった。通常国会が16日閉会した。新型コロナウイルス対策や目前に迫った東京五輪・パラリンピックについて、国会の議論は国民にどう映ったか

 ▼緊急事態宣言やまん延防止等重点措置をはじめ国民の我慢によって感染者は減少傾向にあるが、収束を見通せる段階にない。飲食店や観光業などは厳しさを増している。それでも政府提出法案がほとんど通り、もはや議論は必要ないという

 ▼信越線に戻れば、開通で本県や長野県から生糸の大量輸送が実現し、輸出による外貨獲得につながった。驚かされるのは11.2キロの難工事がわずか1年半で完成したことだ。仕事の速さには、関わる人の相当な熱量があったに違いない

 ▼国内でコロナ感染が確認されて来月で1年半になる。この危機に議論がかみ合わず、気迫もさほど感じられないようでは、まだ峠を越えられそうにない。

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