2021/07/31【三山春秋】障子ばかりの家で育ったので…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼障子ばかりの家で育ったので、友達の家のドアノブに付いていた花柄のカバーがおしゃれでうらやましかった。伊勢崎市赤堀歴史民俗資料館で開催中の企画展「昭和のレトロな世界」を訪れ、思い出した

 ▼展示は1964(昭和39)年の東京五輪を挟む高度経済成長期のライフスタイルの変化に焦点を当てた。テレビやテープレコーダー、クーラー。昭和30~40年代の家電製品を中心に収蔵資料約50点が並ぶ。黒電話に掛けたカバーは同館職員の手作りとか

 ▼五つの展示テーマのうち「キッチンに花が咲く」は、一大ブームになった花柄デザインを取り上げている。67年に花柄の魔法瓶が発売されて以降、電子ジャーなどにも採用され、台所は花が咲いたように。新製品の開発や価格競争もあって、魔法瓶は昭和40年代末期、普及率95%に達したという

 ▼「母ちゃんの手が空くように、うちはテレビより先に洗濯機を買った」と、川道亨館長に教えてくれた来館者がいたそうだ。養蚕の担い手だった女性の家事負担を減らしたいという当時の思いが伝わってくる

 ▼大量生産、大量消費の原点を見つめる企画だが、年配者には懐かしく、若い世代には目新しく映りそう。豊かさの尺度は変わっても、欲しいものがあるというのは幸せなことかもしれない

 ▼企画展は9月5日まで。3世代で見れば、おじいちゃん、おばあちゃんから生きた歴史を聞けそうだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事