2021/09/05【三山春秋】激しいぶつかり合いが魅力の…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼激しいぶつかり合いが魅力の車いすラグビー。東京パラリンピックで銅メダルを獲得した日本チームは、障害の軽い選手が得点しやすいよう、障害の重い選手が相手の動きを封じる連係プレーが見事だった

 ▼車いすや義足をまるで体の一部であるかのように使いこなす選手たち。世界最高峰の舞台で輝く姿から、彼らの日常生活を想像したことはあるだろうか

 ▼同居する父は昨春、交通事故が原因で高次脳機能障害を発症した。記憶障害などに加え、自立歩行が困難となり、入浴やトイレなども介助が必要だ。自宅やデイサービスでの生活には慣れたが、一歩外へ出るとままならないことが多い

 ▼車いすでは不便な飲食店やなじみの宿からは足が遠のいた。バリアフリーをうたう旅館も、間取りを確認するとベッドサイドまで歩けることが前提だった。わずかな段差に車輪が引っ掛かり、父を車いすから放り出すという苦い経験もした

 ▼最寄りの駅にエレベーターの設置が決まったり、工事中の飲食店の入り口がスロープだったりすると心底うれしい。欲を言えば、困っている人に、自然に手を差し伸べられる人が増えるといい

 ▼障害の有無を超えて違いを認め合う「共生社会」実現に向け、世界にメッセージを投げ掛けた東京パラリンピックがきょう閉幕する。彼らがまいた「心のバリアフリー」の種は、どんな芽を出すだろう。しっかり根付いてほしい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事