2021/09/10【三山春秋】娘が幼かった頃のこと…
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 ▼娘が幼かった頃のこと。近所の小児科で予防接種の注射をすると気づいた瞬間、娘は身を翻し診察室から走って逃げだした。泣いたり暴れたりはあっても脱走は珍しいと聞いた。が、数年後に息子も全く同じ行動をする。「以前もこんな子がいましたね」と医師が笑っていた

 ▼注射が怖いのは子どもに限らない。「痛いのはちょっと」くらいならまだしも、とがったものを恐れる先端恐怖症で動悸(どうき)や息苦しさといったパニック症状を起こす人もいる。腕に針を刺すニュース映像さえ目をそらしてしまうという

 ▼新型コロナのワクチン接種が進み、おそらく注射への不安が過去最も多い年である。痛みの恐怖だけではない。重症化予防の効果は分かっていても副反応があると聞けば程度の差はあれ気がかりだ

 ▼新たな心配の種である。米モデルナ製ワクチンの瓶に異物が混入し、本県でも太田市の大規模接種会場で見つかった。自主回収対象製品の接種後に死亡した例もある。接種との因果関係は不明というが、不安を抱く人がいても仕方あるまい

 ▼中高年層の接種は進み、感染が急増する30代以下はこれから本番。「DNAを改変する」「不妊になる」といったネットのデマによる懸念もようやく減ってきた

 ▼接種への同調圧力があってはならないが、せっかく前向きになった若者が身を翻し注射から逃げ出す事態は困る。安全には厳しい目を向けたい。

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