2021/09/26【三山春秋】最初の子どもを病気で亡くした…
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 ▼最初の子どもを病気で亡くした志賀直哉はスペイン風邪をひどく恐れた。短編『流行感冒』で主人公は、女中に厳しく密を避けさせ、医者に来場を勧められても娘を小学校の運動会に行かせない。あとがきに〈事実をありのままに書いた〉とあり、実際こんな生活をしたのだろう

▼本当なら県内では多くの小学校で運動会が開かれるこの週末。校庭に歓声と音楽が響き、駆けっこや踊りに一喜一憂するはずだった

▼コロナがそうした風景を奪って久しい。地元の運動会は延期され、学年ごとの分散開催で観覧制限もある。感染防止のためにはやむを得ないのか、小学6年生の息子の姿を見ることはできなそうだ

▼なぜだろうと思うこともある。第5波で19歳以下の感染が大きく増え、懸念通り学校でクラスターも発生した。それでも高校を除き、オンライン授業を選ぶ学校は多くなかった。ほとんどの小中学生にいち早くタブレット端末が配られているのに、である

▼運動会や修学旅行は縮小する一方、感染爆発時も学校生活はいつも通り。せっかくの端末は宝の持ち腐れにならないか。志賀ほどでないにしろ、心配なのはどの親も変わらない。学びを守るためにも必ず訪れる第6波に備える時ではないか

▼前述の短編で主人公は〈三週間ほどたった。流行感冒もだいぶ下火になった〉ころ感染する。次に目を向けつつ、まだ第5波も油断なきように。

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