2021/10/21【三山春秋】県内のいくつかの大学で…
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 ▼県内のいくつかの大学で報道の役割について話す機会がある。例に挙げるのが、米カリフォルニア州の3万5000人の小さな市で起きた事件だ。市の幹部が勝手に給与を上げ、当時のオバマ大統領の2倍となる約80万ドルもの報酬を得ていた

 ▼幹部は監視するはずの議会や警察署長の給与も引き上げて口を封じた。暴走が始まったのは地元紙の廃刊で新聞空白になった1990年代。別の新聞が実態を暴き、2010年ようやく明るみに出る。関係者は逮捕された

 ▼ネット世代で新聞を日常的に読んでいる学生は少ないが、手前みそながら授業に寄せられる感想は「知る権利と報道の大切さが分かった」と前向きな声が多い。厳しい意見も含め、身の引き締まる思いで学生の思いを読んでいる

 ▼世界が新型コロナに直面し、ネットにはデマが飛び交う。自らに都合の悪い報道を「フェイクニュース」と切り捨て、批判には圧力で対抗する為政者もいる。言論の自由が揺らいでいる

 ▼その危機感だろう。今年のノーベル平和賞は強権政治に立ち向かうロシアとフィリピンのジャーナリスト2人に授与される。授賞理由は「民主主義と恒久平和の前提である表現の自由を守る努力」だった

 ▼「答えなき時代のヒントを探る記事」。今年の新聞週間の代表標語である。きょうが最終日だが新聞が時代のたいまつであるよう、ここからまた気持ちを新たにしたい。

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