2018/06/10【三山春秋】画家、竹久夢二は、よく知られる…
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 ▼画家、竹久夢二(1884~1934年)は、よく知られる美人画とともに、商業デザインの分野でも優れた仕事を残し、さらに身近な手工芸品に新たな創意を加え制作しようという意欲をもっていた

 ▼県立日本絹の里(高崎市)の企画展「竹久夢二」では、着物姿の女性を描いた肉筆画(掛け軸)に加えて、デザイナーとして手掛けた浴衣や半えりなどの図案をそろえ、同館ならではの視点で和装文化と夢二との関わりをとらえている

 ▼目を引くのは、作業する女性を絹の布に描いた肉筆画だ。「思出の小春」(大正前期)は、糸車を回して綿を紡ぐ女性を描いている

 ▼「新月」(1921年)は、石の上に置いた布を木づちでたたく「きぬた打ち」をする姿。そこにあるのは、手仕事に打ち込む人々への敬意と共感である

 ▼夢二は1930年、榛名湖畔で理想の創作活動を進める構想「榛名山美術研究所建設につき」を発表した。そのなかで、身近な材料から絵画、木工、陶工、染織などの作品を制作し、〈生活と共にある新鮮な素朴な日用品をつくる希望をもつ隣人のために研究所を開放する〉と宣言している

 ▼病に倒れ、実現できなかったが、展示されている前記2作や、絵を描いた扇子、うちわ、手ぬぐいなどの日用品を見ると、構想に込めた「ものづくり」の精神が一層、説得力をもって伝わってくる。

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