2018/07/01【三山春秋】出版文化こそ地方文化の水準を…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼出版文化こそ地方文化の水準を測るバロメーターである―。郷土史家の萩原進さん(1913~97年)は青年時代からそう確信し、出版文化一筋に 歩み続けたという(『郷土史五十年』)

 ▼この言葉通り、郷土史に関わる多くの著書を残し、「みやま文庫」創設をはじめ数々の文化運動を仕掛けた。そのなかで改めて光を当てたい活動に「貴重史料の復刻」がある

 ▼地域史研究の推進に力を尽くした朝日印刷工業社長の石川薫さん(1903~84)の支援を受けて発行ための組織をつくり、65年から『群馬県史料集』として『前橋風土記』復刻版などを次々と出版してきた。まさに群馬の文化水準を高める取り組みだった

 ▼そんな2人の精神を継承する仕事と言えようか。昨年から群馬地域文化振興会が同社と始めた郷土図書復刊事業の第1弾『養蚕新論 乾』(1872年、田島弥平著)を手にして浮かんだのは、萩原さんの言葉だ

 ▼入手したり図書館で閲覧することが難しい図書を電子データ化、必要な人にその都度印刷、製作し実費で頒布する。選定委員会が図書を決め、現在まで40冊を復刊、さらに増やしていくという

 ▼電子書籍の普及に伴い、紙媒体が危機にあるといわれる。しかしデジタルばかりになるとは思えない。貴重図書の復刊は、紙のもつ力を もう一度見直そうという試みでもある。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事