2018/07/08【三山春秋】鬼気迫る…。気迫あふれる生き方…

 ▼鬼気迫る…。気迫あふれる生き方や仕事への賛辞としてよく使われる表現だが、先月、91歳で亡くなった前橋の詩人、梁瀬和男さんの近年の仕事に触れるたびに浮かんだのがこの言葉だった

 ▼梁瀬さんの「伊藤信吉研究」が自ら編集する総合文芸誌『風雷』で始まったのは1987年5月から。同郷の先輩詩人の幅広い研究や詩業を、畏敬とともに冷静な批評眼をもって論考する骨太の連載評論は、2001年の終刊まで53回を数えた

 ▼しかしそこで途切れることなく、雑誌『かぶらはん』で106回まで、2011年からは『夜明け』で書き継がれるという異例の形で30年にわたり続けられ、今年1月発行の同誌に掲載された133回が最後になった

 ▼終戦直後から始めた詩作とともに、群馬県の代表的な詩誌、文芸誌に深く関わり、県文学賞選考委員、上毛詩壇選者をはじめ、文学関係団体の中心となって活躍した

 ▼そのなかで、とりわけ輝きを増して見えるのは、雑誌、新聞などに発表したおびただしい数の郷土詩人の研究や回顧だ。未完の大作「伊藤信吉研究」はその代表例である

 ▼〈時流にのみ眼をうばわれ、郷土の文学遺産に眼をむけない 傾向がみられる〉(『群馬戦後文人への追慕』)として後進を叱咤しった激励することが多かった。梁瀬さんのその姿勢もまた、継承すべき遺産である。

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