2018/07/15【三山春秋】「湯治」という言葉には、気持ちを…
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 ▼「湯治とうじ」という言葉には、気持ちをほぐしてくれるやさしい響きがある。長期滞在して温泉療養することを指すが、病気の治療だけでなく心をも癒やす温泉ならではの特長を言い表している

 ▼温泉に関する多くの著作を持つ石川理夫みちおさんの新著『温泉の日本史』(中公新書)によれば、湯治は日本で作られた言葉であり、温泉療養の意味で使われ始めたのは平安末期という。日本人がいかに古くから温泉に親しんできたかが分かる

 ▼同書は、記紀の記述から、中世に表舞台に現れた名湯、戦国大名の隠し湯、江戸時代の湯治旅、戦後の観光地化まで、群馬県の草津、伊香保も含め全国の温泉のエピソードで構成する興味深い通史である

 ▼その中で石川さんは日本の入浴文化の奥深さを強調。温泉地は貴重な歴史文化遺産であり、多様な資産価値を再評価し、もっと活用すべきだと提言している

 ▼日本の温泉文化のユネスコ無形文化遺産への登録を目指す動きが群馬で始まった。自民党県議による「温泉文化世界遺産研究会」が先月発足し、県も調査研究のための組織を立ち上げるという

 ▼温泉の歴史、文化の普遍的な価値を、県外の温泉地とともに世界に発信しようという試みだ。十分とは言えなかった総合的な温泉研究を深めるきっかけになるだろう。登録に向けて何が必要なのか、知恵を絞りたい。

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