2018/07/21【三山春秋】こけむした岩の間を流れる沢のせせらぎ…
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 ▼こけむした岩の間を流れる沢のせせらぎを聞きながら、上野村・御巣鷹の尾根にある日航ジャンボ機墜落事故現場の「昇魂之碑」を目指した。滴る汗を拭い、あの夏休みを思った

 ▼当時は中学1年だった。単独事故の犠牲者としては世界の航空史上最悪。奇跡的に助け出された同い年の少女が語る体験に大きな衝撃を受けた

 ▼自宅近くの駐屯地から、連日事故対応で飛ぶヘリコプターの音がこだました。当事者であれば、どれだけ苦しいことか。忘れられない夏休みになった

 ▼山道を進むと、くるくる回る風車が目に入った。色鮮やかな造花もあった。管理人の黒沢完一さん(75)に聞くと、今年になって寄贈されたものだという。仏教で「弔い上げ」と呼ばれる三十三回忌は昨年終えた。だが、犠牲者の魂を慰め、事故を風化させまいという動きは今なお続いている

 ▼事故原因をテーマに、日本航空の元客室乗務員が執筆した「日航123便 墜落の新事実」(河出書房新社)は昨年7月の刊行以来、10万部を記録するヒット作となった。事故は33年たっても古びていない。月内には続編が刊行される

 ▼県内の多くの学校はきょうから夏休み。刻まれたあの夏の記憶を心にとどめつつ、夏休みが子どもたちに成長をもたらす時間となるよう願いながら、地元で起きた事故の風化防止に一役買いたい。

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