2018/07/25【三山春秋】「鍋をつつく」。一家だんらんだったり…

 ▼「鍋をつつく」。一家だんらんだったり、仲間同士の和気あいあいだったり、誰もが体験に基づいて知り、思い出したり、思い浮かべたりするシーンだと思っていた

 ▼埼玉県熊谷市で国内過去最高の41.1度を観測するなど厳しい暑さが続く。「鍋料理のことなど不快さが増すだけで読みたくもない」とお叱りを受けそうだが、最近あった講演会の話を書きとめたく、ご容赦願いたい

 ▼「こども食堂ネットワークぐんま」の設立大会で登壇した社会活動家で、法政大教授の湯浅誠さんは、鍋をつつくのは誰もが体験するものではないという。こども食堂での女子高校生の発言を例示した

 ▼「鍋をつつくって本当にあるんだ」。驚く周囲をよそに、鍋を囲みながら本人は正直な感想を口にしただけ。同じような場面をテレビで見ることはあっても、ヒーローが空を飛ぶのと同様にフィクションだと思っていたらしい

 ▼「自分の家庭はなかなか相対化できない」と湯浅さんは話す。貧困の連鎖が断ち切れたか分かるのは子どもたちが大人になったときとした上で、鍋をつつく「現実」を知った先にある光と、こども食堂の積み重ねに期待する

 ▼一人一人に何ができるのか。「みんながこども食堂に行くことが支援につながる」。その場にいるだけで役に立つことがあるという。そう難しくなさそうだ。

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