2018/07/27【三山春秋】古いものには魂が宿るという…
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 ▼古いものには魂が宿るという。日本には「付喪神つくもがみ」という妖怪がいて、物を粗雑に扱えば災いを、大切にすれば幸をもたらすという言い伝えだ。先日訪れたイベントで70年以上も前のスクーター「ラビット」を拝見し、そんなことを思い出した

 ▼現SUBARUが1946年から生産した日本初のスクーターで、国民的人気を誇った。今年は生産終了から50年の節目。イベントには全国各地からオーナーが集まり、誕生の地、太田市に「里帰り」を果たした

 ▼参加者は30~90代と幅広く、大阪から下道で3日間かけて自走してきたグループも。大阪の男性は「壊れるのは当たり前。修理しながらのんびりやってきた」と語った

 ▼参加した中で最も古かった47年製は始動法が「押しがけ」。気温40度近い炎天下で、オーナー男性は滝のような汗を流しながらラビットを押して何度も走った

 ▼その場で修理を始める人もいて、はたから見れば苦労ばかり。それでもエンジンがかかると、愛情を注いだ分だけ笑顔が戻る。まるでラビットが生きている錯覚に陥った

 ▼物があふれる消費社会に暮らしており、古くなった物を買い替えるのは当然なのかもしれない。でも、まだ使える物もあるのでは。ラビットはそう問い掛けているようでもあった。付喪神は今の時代こそ必要とされているのかもしれない。

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