2018/07/31【三山春秋】寝苦しい夜は、怪談に親しむといい…
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 ▼寝苦しい夜は、怪談に親しむといい。高崎市出身の怪談作家、戸神重明さんの新著『怪談標本箱 雨鬼うき』は赤城山、碓氷峠、新前橋駅など県内各地の47話を集めた上州特別編で、読むうちに背筋がひんやりしてくる

 ▼ダム湖に響く赤ん坊の泣き声、突如として鳴る火災報知機、ドンドンと隣室から壁をたたく音。ふと気づいたのだが、別世界から唐突にやってくる音は、恐怖をあおり立てる悪魔の小道具のようだ

 ▼音楽の世界では、英国にローズマリー・ブラウン(1916~2001年)という女性霊媒師がいた。専門的な音楽教育は受けていないのに突然、ピアノを弾き始める

 ▼ベートーベン、ショパンら「霊界の楽聖」がリストの仲介で現れ、死後の“新作”を披露する。彼女は400曲を楽譜に書き表し、専門家がどんなに調べても虚言とはみなしにくいという

 ▼そうした楽曲を演奏したCD『ローズマリーの霊感』を聞けば、これまたひんやりする。ただ、今日は1886年に亡くなったリストの命日でもあるから、逆に霊界は楽聖の誕生日を祝って大にぎわいかもしれない

 ▼現実の夏の音は容赦ない。激しい雨音、土砂崩落の地響き、救急車のサイレン。あまりにも過酷で、むしろ怪談の世界に癒やしを求めるような毎日だ。7月が終われば猛暑も遠のき、当たり前の楽しい夏になるのだろうか。

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