2018/08/08【三山春秋】〈私がわが運命の支配者/私がわが魂の…

 ▼〈私がわが運命の支配者/私がわが魂の指揮官なのだ〉。南アフリカの元大統領、ネルソン・マンデラ氏が反アパルトヘイト(人種隔離)運動で獄中にあった際に、心の支えにしていた詩の一節を時折、思い出す

 ▼詩を知ったのは10年近く前の映画「インビクタス/負けざる者たち」だった。詩のタイトルが「インビクタス」で「征服されない」などの意だ。マンデラ氏は苦境にあっても自らを貫いた

 ▼映画は1995年のラグビーワールドカップ開催地、南アフリカが舞台。アパルトヘイト関連法が91年に廃止されてからも残った黒人と白人の分断を超え、競技を通じて国が一つになる物語を描いた

 ▼スクリーンにはマンデラ氏が唱えた「虹の国」があった。現実を見れば、理想が実現されたとはいいがたい。ただ、さまざまな色が境界線なく輝き、一つの弧を描く虹は、多様な価値観を認め、支え合う姿の象徴だ

 ▼11日に「ぐんまにじいろ成人式」が開かれる。性的少数者(LGBT)らが人生の節目を共に祝うイベントで、ここでも虹が使われる

 ▼「LGBTは生産性がない」と月刊誌に寄稿した政治家がいた。冒頭の詩は〈私を覆う漆黒の夜〉と始まり、周囲を圧する夜を描写する。寄稿は自分の枠からはみ出す他者を認めず、単色の闇のようだと例えると大げさだろうか。屈したくはない。

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