2018/08/09【三山春秋】海なし県で生まれ育ったせいか、…
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 ▼海なし県で生まれ育ったせいか、海が見えただけでなぜか心が躍る。泳いだり、潮風に吹かれて散策もいいが、お薦めなのが水族館。マグロ、クラゲ、ジンベエザメ、深海魚と館ごとに特色があって楽しい

 ▼最近の人気はイワシの「トルネード」。捕食者から身を守るため刻々と形を変え、まるで一つの生命体のように変化する。イワシにしてみれば必死の逃走劇かもしれないが、変幻自在ぶりに目が離せない

 ▼イワシは豊富な栄養を含み、庶民の食卓に欠かせない存在だった。この魚に温かなまなざしを向けたのが童謡詩人の金子みすゞ。代表作「大漁」はイワシにも大切な命があることを教えてくれ、胸に響く

 ▼県立土屋文明記念文学館で企画展「金子みすゞの世界」が開催中だ。1903(明治36)年、山口県仙崎村(現長門市)生まれ。二十歳から童謡を書き始め、詩人の西條八十に認められた

 ▼だが、女性の自由な言論や創作を許さなかった時代。夫から創作や文通を禁じられた。離婚を決意したが、当時親権が認められるのは父親だけ。みすゞは娘を自分の母に預けるよう遺書を残し、26歳で命を絶った

 ▼企画展ではみすゞが幼い娘の言葉を書き留めた「南京玉」という手帳が展示されている。絵本を読んだり、歌ったり。そこには娘にあふれんばかりの愛情を注ぐ姿があり、切ない。

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