2018/08/14【三山春秋】夏休み、部活後に自動販売機で…
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 ▼夏休み、部活後に自動販売機で買って飲んだ冷たい炭酸飲料だろうか。それとも腹ぺこで食べた中華料理店の大盛りラーメンか。ごちそうではないが、妙に記憶に残る青春の味は誰にもあるだろう

 ▼味の記憶は匂いに強く結びついているという。味覚や視覚と違い、五感の中で嗅覚情報だけが脳内で視床を経由せず、記憶をつかさどる海馬に直接伝わる、と読んだことがある

 ▼そういえば味の詳細は覚えていないが、香ばしいソースの匂いが思い出される。前橋市の中心街にあった「あくざわ」の焼きそばだ。硬い麺の食感や量の多さも印象的だった

 ▼店は50年以上続いたが、20年前に閉店。青春時代から食べ続けた元市職員の高橋秀男さん(63)が7月、味を再現し店を復活した。「みんなが好きだった味を守りたいだけ」と気負いないが、がんを乗り越え、第二の人生を懸けた挑戦だ

 ▼中心街では今月、前橋の可能性に懸けて移住した2人が切り盛りする店もできた。パスタ店「グラッサ」の沢井雷作さん(39)と和菓子店「なか又」の榊原慎也さん(38)は、「人の集まる街にしたい」と口をそろえる

 ▼2016年8月に発表された、民間発想の街づくりビジョン「めぶく。」に盛り込まれた両店。多くの人の関わりから生まれた新しい二つの芽だが、青春の味と呼ばれるまで長く市民に愛されてほしい。

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