2018/08/28【三山春秋】桐生市の重要伝統的建造物群…

 ▼桐生市の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の一角にある桐生歴史文化資料館(本町二丁目)で、興味深い企画展が開かれている。明治から昭和の葬儀をテーマとした「明治・大正・昭和の葬儀と葬列」である

 ▼同市で活躍した政財界人らの葬儀の様子を撮影した写真や葬儀の告知記事、明治期の葬儀に関する文献など貴重な40点が並ぶ。来場者は展示品に顔を近づけて真剣に見入っている

 ▼なかでも晩年を同市で過ごした作家、坂口安吾(1906~55年)の通夜・葬儀を捉えた写真の前では、足を止める人が多い。祭壇の前に座る喪服姿の妻、三千代さん、当時1歳だった長男、綱男さんの姿が納まっている

 ▼石こうで安吾のデスマスクを取る様子の写真も目を見張る。安吾の友人が撮影した一枚で、同館運営委員会事務局の川嶋伸行さんは「初めて公開される。貴重な資料」と話す

 ▼「安吾を語る会」代表の奈良彰一さんによると、同市内の自宅で営まれた通夜・葬儀には安吾と交流のあった直木賞作家の檀一雄も駆け付けた。デスマスクの制作者は鳥取県出身の彫刻家、早川巍一郎で、檀の紹介だったという

 ▼同展は9月30日まで。安吾らはどんな思いで旅立っていったのだろうか。平成の終わりにかつての風習や葬儀の移り変わりに触れ合い、死や弔いについて考える機会にしたい。

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