2018/09/01【三山春秋】家族で谷川岳登山に出かけた。…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼家族で谷川岳登山に出かけた。ロープウエーで天神平に上り、尾根づたいに山頂を目指した。週末とあって登山者が多く、道を譲り合いながらの山行となった

 ▼谷川岳は思い出深い山である。高校時代に山岳部の歩荷訓練でリュックに大きな石を詰め込み、30キロを担いで縦走した。これだけ重いと一人で背負うのも一苦労。土合駅の階段で脚が悲鳴を上げた

 ▼谷川岳は不思議な山だ。緑に覆われた斜面が続く新潟県側に対し、群馬県側は岩場が崖のように切り立つ。一ノ倉沢は日本三大岩壁に数えられ、日本を代表する登山家を育てた

 ▼森田勝さんは1967年、冬季登攀とうはんは不可能とされていた滝沢第3スラブを初登攀。長谷川恒男さんは74年、滝沢第2スラブの冬季単独登攀を果たした。世界最強と呼ばれた山田昇さんや山野井泰史さんもここで経験を積み、世界の名峰に挑んだ

 ▼一方で多くの遭難者を出した「魔の山」でもある。記録に残る死者数は815人、行方不明9人。一ノ倉沢を望む岩場には犠牲者を悼む銘板が多数あり、山の歴史を伝える

 ▼8月19日付上毛歌壇にこんな歌が載っていた。〈頂上へ後二十分のザンゲ岩けふはここまで雨の谷川岳〉。山頂を目前にしながら下山を決めた判断は正しい。山は逃げない。いつか再び挑めば、また美しい山容で登山者を迎えてくれるはずだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事