2018/09/08【三山春秋】「イデオロギーや既成概念に固執…

 ▼「イデオロギーや既成概念に固執する必要はない。大いに妥協しなさい」。「国民新聞」を主宰し明治から昭和にかけて活躍した言論界の重鎮、徳富蘇峰(1863~1957年)は若き日の中曽根康弘元首相に政治家の心得を説いた

 ▼薫陶を胸に、中曽根氏が首相の座を射止めたのは蘇峰が没した四半世紀後。最高権力者の激務を1806日務めた上に、いかに100歳という長寿を得たか。青雲塾会館(高崎市)に併設する資料展示を見ると、柔軟な思考回路に生命力を吹き込んだ中曽根氏のエンジン構造に触れる思いがした

 ▼古希を前に、後継の自民党総裁候補を選んだ「中曽根裁定」の素案文も残る。昭和最後の総裁選である

 ▼結論を導く際、中曽根氏は〈教育、税、土地政策等懸案の重大政策事項が眼前に山積し/政策の大胆な展開は全国民の御理解・御支援と全党員の協力なくして行うことは不可能〉と断じた

 ▼平成最後となる可能性が高い総裁選がきのう、告示された。連続3選を目指す安倍晋三氏に石破茂氏が挑むが、30年以上前の総裁選で中曽根氏が記した状況は現在に通じる

 ▼ただ、バブル経済の真っただ中だった当時と比べると、国民の将来展望は明るくない。自然災害が頻発し、不安も増している。各地が明るくなるような、既成概念を打ち破る政策が論じられるといい。

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