2018/09/09【三山春秋】「萩原朔太郎は詩の怖さと深さを…
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 ▼「萩原朔太郎は詩の怖さと深さを教えてくれた詩人で、詩の書き始めから今日まで何度も立ち返り読んできた」。先週、詩集『接吻(せっぷん)』で第26回萩原朔太郎賞(前橋市など主催)に決まった詩人の中本道代さん(東京都)がこんなコメントを寄せた

 ▼同賞の発表を毎年、心待ちにしている。選ばれた詩集とともに最も注目するのは、受賞者が朔太郎に対してどんな印象を抱いているのかということだ

 ▼1993年の第1回受賞者、谷川俊太郎さんは「もし朔太郎がこの詩集を読んだら、どう言ってくれるだろうと想像する。たぶん、こてんこてんに言われるような気がする」とユーモアを交えて語っていた

 ▼以来、歴代受賞者が、独自の視点で朔太郎作品のとらえ方を披露してきた。これまで触れられなかった詩的世界を知ることも多く、そのたびに強い刺激を受けた

 ▼前橋文学館が全国の文学館などで一斉に朔太郎に関する企画展「朔太郎大全」(仮称)を、没後80年(2022年)に合わせ開く計画を進めている。人的交流ととともに、詩、音楽、写真など幅広い芸術活動に取り組んだ朔太郎像を浮かび上がらせる仕掛けだ

 ▼呼び掛けに、多くの文学館が参加を表明しているという。前例のない思い切った試みだ。朔太郎が構築した世界の大きさを、思いもかけない角度から再認識できるのではないか。

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