2018/11/09【三山春秋】榛東村新井の杉林の中に、明るく…
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 ▼榛東村新井の杉林の中に、明るく開けた場所があった。そこが川の上で、足元に土砂災害を防ぐ堰堤えんていがあるとは思えなかった

 ▼雑草や低木をかき分けてみて、ようやく高さ約3メートルの石積みの上に立っていると分かった。明治初期、榛名山麓に造られた巨石砂防堰堤の一つ「八幡川2号堰堤」だった

 ▼10月末、堰堤の保存・顕彰を目指す村民らがクリーン作戦に臨んだ。雑草を刈り払い、低木を切り倒すと、大きな石を積み上げた壁が姿を現した。上部の縄がたるんだような形状、下流面のアーチ形状が美しかった

 ▼堰堤は築造を指導したとされるオランダ人技師、ヨハネス・デ・レーケにちなみ「デ・レーケ堰堤」と呼ばれる。5河川に計120基造られたが、現存するのは二十数基という

 ▼自然石を積んで堰堤を造る発想や技術、130年以上も防災に貢献してきた歴史、こうした建造物が必要とされた理由など、貴重な土木遺産が伝えるものはたくさんあるが、残念ながら住民の関心はあまり高くはない

 ▼デ・レーケ堰堤のように、後世に伝えるべき価値を持ちながら埋もれている文化財は少なくない。その保存・顕彰がすぐに経済的な利益を生み出すことは少ないだろうが、長い目で見れば、地域や住民に大きく貢献してくれるはずだ。そう信じて保存・顕彰に取り組む人たちを応援したい。

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