2018/11/13【三山春秋】歴史は勝者によって書かれ…
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 ▼歴史は勝者によって書かれ、伝えられるという。権力者にとって都合の悪い出来事は隠される。高崎で4日開催された小栗上野介忠順没後150年に合わせた鼎談(ていだん)を聞き、あらためてそう感じた

 ▼明治以降の「薩長史観」では、“賊軍”とされた幕府側の要職を歴任した小栗を評価するのは難しかっただろう。横須賀製鉄所(造船所)建設など日本近代化の礎を築いたとされるが、業績に比べ知名度は低いと言わざるを得ない

 ▼対照的なのが同時代を生きた勝海舟ではないか。幕臣から維新後、新政府に出仕。江戸無血開城など激動の時代の経験は広く語り継がれた。さまざまな人物との交流も知られている

 ▼幕末の遣米使節に関しても、小栗ら使節団を乗せたポウハタン号より、その随行で勝が乗った咸臨丸の方が有名だ。歴史を正しく理解し、伝えていくことについて考えさせられる

 ▼お役御免となった後、移住先に知行地である上州権田村(高崎市倉渕町権田)を選んだ小栗は、その能力を警戒する新政府側に斬首された。卓越した知識、経験をその後の国づくりに生かせなかったのは、大きな損失だったのではないだろうか

 ▼人の評価は時代によっても大きく左右される。地元の人たちは不遇の時代も変わらず小栗を語り継いできた。先人の足跡が埋もれていないか、地域を見つめ直したい。

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