2018/11/18【三山春秋】幕末・明治からの絹産業の振興を…
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 ▼幕末・明治からの絹産業の振興を担った人々の先進的な考えや行動にどれほど多くのことを学んだことか。中でも、養蚕農家を組合員とする安中市の組合製糸、碓氷社を経営した萩原鐐太郎(1843~1916年)の経営理念には、とりわけ深みを感じる

 ▼前身の「碓氷座繰精糸社」が設立したのは、140年前の1878(明治11)年。手作業の座繰り製糸技術により、明治期は質、量ともに器械製糸を凌りょうが駕する生産を続けた

 ▼一番の特質は〈家内工業の大同団結であり、それぞれの家庭の幸福、すなわち一家団欒だんらんを経営目的の基礎として組織した〉(『碓氷社五十年史』)ことだ

 ▼〈精良なる製糸〉で収益を上げることと家庭の幸福を併せて得ることを目指すこの理念に触れるたびに、すがすがしい気持ちになる

 ▼蚕糸業はその後、曲折を経て衰退を続けてきたが、富岡製糸場と絹産業遺産群の世界遺産登録を機に復興させようという機運が生まれている。注目されるのは、これまでにない方法で企業、個人が新規参入していることだ

 ▼人材サービスのパーソルサンクス(東京)が昨年、富岡市で障害者雇用と養蚕継承を目的に「とみおか繭工房」を開設。障害があるメンバー、職員22人が養蚕を行い、順調に生産を伸ばしている。依然として厳しい環境の中、高い志をもつ継承者は頼もしい。

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