《教育ナウ》「自然との共生」実践 尾瀬高、環境省と連携 湿原にシカよけの柵 設置
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尾瀬ケ原の湿原にシカよけの柵を設置する生徒ら

 「自然環境科」を設置している尾瀬高(沼田市利根町、長屋昌恵校長)は、環境省と連携した環境教育に力を入れている。2019年に同省関東地方環境事務所と連携協定を締結。専門的な知識を持つ職員の助言を受けながら、尾瀬国立公園などで環境調査や自然保護活動に取り組む。同校での出前授業もあり、「自然との共生」を図ることができる人材育成を目指している。

 「このミズバショウ、シカに食べられたのかな」。5月14日の尾瀬国立公園。生徒は林道で立ち止まり、ちぎれて散乱する花を眺めていた。
 同公園では、栃木県側から移動してくるニホンジカに、園内に咲く希少な植物の芽を食べられる食害が相次いでいる。同事務所は毎年シカよけの柵を設置。今回初めて、同校自然環境科の2、3年生22人が参加した。
 生徒らは、鳩待峠からミズバショウの群生地がある尾瀬ケ原の湿原へ。4班に分かれ、同事務所の職員らに教わりながら群生地で作業に当たった。木道から長靴で湿原に降り、地中に埋まったパイプに支柱を立てネットを張る―。1時間ほどで周囲約890メートルの柵ができ上がった。
 同校2年の小宮晴太さんは「湿原に入って作業する貴重な機会をもらえて感謝している。今後、保護柵の効果を見守りたい」と感想を述べ、同事務所の自然保護官の石井桃花さんは「効果が現れるのは2、3年経ってからだと思う。その頃に再び尾瀬を訪れて、達成感を感じてもらえれば」と期待した。
 同校は以前から、尾瀬での自然環境調査に加え、日光国立公園でシラネアオイ群落の保護や復元に取り組んできた。こうした活動が同事務所の取り組みと重なり、同校と同事務所の連携を生んだ。
 環境省との連携について、星野亨教諭は「レンジャー(自然保護官)の仕事について話を聞き、卒業後の進路として興味を持つ生徒もいる。今回設置した柵は規模も大きく、生徒も植生保護に貢献したという意識を持ちやすいのではないか」と話している。
(多々納萌)

◎環境守る教育県内に広がる
 自然保護をはじめ、環境の大切さを学んでもらう取り組みは県内全域に広がっている。
 勢多農林高(前橋市、田村浩之校長)は、授業内で赤城山に自生するサクラソウの保護活動に取り組む。自生地で個体数を確認するほか、バイオで増やし販売することで希少性を減らし盗掘を防ぐ、農業高校ならではの手法を取っている。
 県教委も、群馬銀行環境財団教育賞の前身である県環境教育賞を創設するなど、各校の活動を後押しする。

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