高大接続改革 教育の質的転換、急務
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 少し前の新聞などでは、2020年度から、大学入試センター試験が廃されて、大学入学共通テストが導入されること、その大学入学共通テストでは数学や国語で記述式問題が導入され、英語で4技能(読む・聞く・話す・書く)が評価されることが取り上げられていました。

 しかし、大学入試改革は文部科学省が進めている改革の一部でしかありません。これは「高大接続改革」と呼ばれ、高校教育と大学教育、その接続部分である大学入試を一体的に改革しようとするものです。大学入試のみが新聞などで大きく取り上げられているので、多くの人は、なぜ大学入試改革を急に行うのかわからないかと思います。

 今の日本社会は、技術革新などにより産業構造の変化が急激に進んだり、グローバル化やパラダイム転換が起こったりして激しく変化しているといわれます。この改革は、いまの子どもたちが予見の困難な時代を生き抜くための能力を身に付ける教育システムに変えることを目指しています。

 これまでの日本では、知識をたくさん持ち、時間をかけずに必要な知識を再現できる人が一般には優れているとされてきました。20世紀の日本は工業化社会でした。仕事の効率化を図るために、全員が一定の共通した知識を持ちながら、リーダーの指示の下、一律に行動することが求められ、指示どおり忠実に仕事を行うことで評価されました。

 教育も同様で、明治以来、日本の学校教育のスタイルは、授業で教師から一方向の講義を黙って受け、たとえわからなくても他者と話すことなく、忍耐強く授業が終わるまで座っている、指示されたらそれを着実に行うことなどでした。ルーチンワークが速く正確にでき、集団でも指示どおりに行動できる生徒が評価されました。

 21世紀になり、知識・情報・技術がすぐに更新され、それらが社会のあらゆる領域での活動の基盤となる「知識基盤社会」となりました。社会では知識の量が多いだけでは必ずしも優位とはいえなくなりました。知識に加え、知識を使う思考力、判断力、表現力等の能力が重視されてきました。さらに、変化する社会に対応するために主体性を持ちながらさまざまな課題に対して、多様な人々と協働できる能力も求められています。

 求められる能力が、今までとこれから先では全く異なるので、教育の仕組みを変えていかなければならないのは当然のことです。学校現場では教員の多忙もあってか、新しい教育の方向を理解したり、そのための教員の資質・能力を向上させたりする取り組みはまだ少ない気がします。それぞれの教員が自分事と考え、教育の方法についてのパラダイム転換をして教育の質的転換を図ることが大切かと思います。



明和学園短大教授 田口哲男 高崎市羅漢町

 【略歴】県内公立高で37年、理科教育や学校運営に携わり、2018年4月から現職。日本バレーボール協会公認講師。近著「高校生に確かな学力をつける」。同志社大卒。

2019/01/03掲載

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