挑戦を決めたもの 「やって後悔」を選ぶ
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 2月10日、東吾妻町コンベンションホールで、町主催によるシャンソンのソロコンサートが開かれます。一度は背を向けた故郷に、このような形で「凱旋(がいせん)公演」できることは夢のようなことです。

 音大卒業後、吾妻郡内の小中学校で教師を長く続けた後、断ち切れぬ思いを胸に、ダンス・バレエの特訓の末、ショーダンサーのオーディションに合格して新宿住友ビル49階のショーレストランでニューハーフとして活動。性適合手術の後、戸籍を男性から女性へと変えました。女性名に改名して両親とも分籍。親戚や知人との関係も断って、二度と戻らない決意で故郷を旅立ちました。

 中年の域で無理はありました。最初に実年齢で問い合わせると門前払いにされ、その後、年齢を一回りも偽ってオーディションに合格。もちろん入店に当たっては、正直に実年齢を話し、正式採用されました。

 最初の2カ月間はビギナーズラック。しかし、3カ月もたつと、集客が弱いことから、「あなたの売りは何ですか?」と聞かれる始末でした。

 それもそのはず。「若くもない」「美人でもない」「ダンスが圧倒的なわけでもない」「自分のお客をたくさん持っているわけでもない」「人を笑わせるトーク術もない」「マツコ・デラックスさんみたいな存在感や人気もない」…。

 どん底の日々から私を救ってくれたのは、目標管理と人材教育の第一人者、原田隆史先生の提唱する「原田メソッド」でした。テレビで「有名企業が行列に並んでも受けさせたい社員教育」の講師として紹介されていました。

 先生は元々公立中学校の体育教師で、ひどく荒れた学校の立て直しや、陸上競技部の指導では「7年間に日本一を13回達成させる」という「結果を出させるためのメソッド」を持っていることを知りました。

 そのまま書店へ直行して先生の書籍を買いあさり、熟読して迷わず実践しました。

 そこで知ったのは、人は人格の土台の上にパフォーマンスを発揮するという事実。「心・人格」をどう育て、目標をどのように立てて、達成していくのかということでした。まさに目からうろこでした。

 それから徐々にお客さまを獲得し、下手なダンスも少しずつ様になってきて、集客ナンバーワンを達成することができました。これほど無謀とも言える挑戦を決断できたのも、「『やらずに後悔する』のと、『やって後悔する』のはどちらがいい?」という究極の質問でした。

 その後、店長の温かい説得もあって両親、親戚、知人たちとの再会が実現。シャンソン・カンツォーネ歌手に転じて、今回のコンサートの実現となった次第です。本番は感謝を込めて、力の限り!



シャンソン・カンツォーネ歌手 村上リサ 東京都板橋区

 【略歴】県内公立中で音楽教諭をしながら、草津国際音楽アカデミーでE・ヘフリガー氏に師事。ショーダンサーを経て、歌手として活動。東吾妻町出身。東京音楽大卒。

2019/01/07掲載

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