農福連携の可能性 地域と共に課題解決を
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 とみおか繭工房2年目の繭生産は、平成最後の年(1年間として)に年間目標1トンを達成しました。今年は1.5トンを目指し準備を進めているところです。

 養蚕事業は養蚕一本で生計を立てることは難しく、例外なくとみおか繭工房でも、養蚕閑散期に障がいのある社員の仕事を作り出すことが必要です。

 私たちは富岡に事業所を構えたわけですが、地方へ拠点を展開するこのコンセプトは、障がい者の労働力で地域の方と共にその地域の課題解決に貢献していこうというものです。

 そこで、養蚕の閑散期に私たちの労働力を、農業における課題解決に向けて活用していただく取り組みを1年目から開始しました。

 まずは最も人手不足が深刻な、この西毛地区の主産物であるコンニャク収穫のお手伝いから始まり、1年目は2軒の農家、2年目の冬は6軒の農家に広がりました。

 これが人手不足の深刻な「農業」と、障がい者の社会との接点および作業の場を求める「福祉」のマッチング、いわゆる農福連携です。

 私は農福連携の推進には二つの機能が必要だと考えます。

 一つは、2者間をつなぐマッチング機能の重要性です。

 農業と福祉は出合えば双方の課題解決につながりますが、目的、生い立ち、文化が異なるために接点はなく、共通言語がないに等しい状態です。

 つまり通訳が必要です。この点、西毛地区は、群馬県西部農業事務所が旗振り役となり、さらにJA甘楽富岡にマッチング事務局を設置する等の推進策をとったことにより、農福連携が今まさに進んでいるところです。

 二つ目に重要なのは、先陣を切るリーダーの存在です。

 マーケティングのイノベーター理論では、イノベーター(市場全体の2.5%)とアーリーアダプター(市場全体の13.5%)の合計16%に浸透すれば、そのサービスがマーケットに普及すると言われます。

 農業者の中で、先陣を切って障がい者の労働力を活用することで課題解決が進めば、その事例が自然に広がります。

 「農福連携」という言葉は、ウィン・ウィンの関係が成立した際の客観的な見方として、第三者が使用する言葉でした。よって、福祉側がこの言葉をいくら使っても決して普及するものではありません。

 農福連携の普及の秘訣(ひけつ)は、農業者がこの言葉を使い始めた時です。農業者の成果が上がり、その要因として障がい者の労働力が挙げられた時、農業者は初めてこの言葉を使ってくれるのではないでしょうか。



とみおか繭工房マネジャー 原田大 安中市原市

 【略歴】人材サービスのパーソルグループで障害者の就労支援事業を担当。子会社が企業養蚕に参入するのに当たり、2017年4月から現職。富岡高―青山学院大卒。

2019/01/17掲載

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