イイトコが好き 安心して帰れる「実家」
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 昨年12月31日。1組ではあるが、いつもと変わらずiitoko(イイトコ)は障害のある子どもを育てる母親の居場所として活動していた。子どもたちの行き場、遊び場に困った母親が利用するだけでなく、ここ最近では、利用者とかスタッフとかの壁のない関係が温かく、ようやくお母さんの実家のようになってきたとうれしく感じていた。

 ところが、この日の昼時、カレーを温めている自分の目の前が急にパッと明るくなり、見えないはずの色鮮やかなパズルのピースが空中でパラパラ落ちていくのが見えたと同時に意識を失った。倒れた私の命を救ってくれたのは、イイトコ利用のお母さんだった。思いっきり手のかかる子どもたちを抱え、どれだけ不安と心細い思いをさせてしまっただろう。目が覚めた病院で申し訳ない気持ちになった。私は脳出血で倒れ、入院生活を送ることとなった。

 そんな中、スタッフたちは、話し合いの場を持ってくれた。後で聞かせてもらった話だが、イイトコをやめることなく進めていくための答えを出してくれたことがありがたく、うれしかった。

 退院後、仲間に「しばらく家に居て休んで下さい」と言われ、甘えさせてもらった。寝てばかりいた身体は、話したり、ちょっと動いたりすることが慣れなかった。車の運転は2年間できないと医師に告げられ、自分はイイトコで何ができるのか思い悩んだ。

 あれから2週間が過ぎ、短時間の復帰をさせていただいた。晴れた日曜日、あそびのひろば&キッチン&初笑いビンマムショーのイベント付き。親子連れが集まった。私の命の恩人のお母さんと3人の子どもたち、イイトコが始まってからずっとのお付き合いになるお母さんや、スタッフのように動いてくれるお母さんたち、遠くからは、沼田の元気なお母さんとお子さん―。ビンマムさんの歌と手遊びに、皆があっという間に巻き込まれ、皆が笑った。

 キッチンでは、スタッフの手作り料理が並んだ。子どもたちが偏食でも無理強いはしない。「子どもが食べられない分、お母さんがおなか一杯食べて帰ったらいいよ」。スタッフの愛の言葉が行き交う。だからお母さんの焦りが徐々に消える。イイトコの優しい空気が大好きだ。

 利用するお母さんからうれしいメールをいただいた。「iitokoはきっと、皆、居心地いいんです! iitokoは今までにない居場所なんですよ! 皆が気付き始めています! そう思います」

 イイトコやめられません!

 藤岡に住む80歳になる親友の母は、わが娘のように私をいつも迎え入れてくれる。母のいない私に実家を感じさせてくれる。「いつでも安心して帰れる場所だよ。だから私も長生きしなきゃ」と、笑顔はすてきだ。イイトコもそうあり続けよう。仲間と共に。



特定非営利活動法人iitoko代表 浅香千恵 高崎市吉井町下奥平

 【略歴】幼稚園教諭や障害児の放課後デイサービスの職員を経験。2014年、障害児を育てる母親を支援する団体「iitoko」設立。高崎保育専門学校卒。

2019/01/30掲載

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