法定後見制度の実情 国内98%、家裁が選任
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 今回は「成年後見制度」のうち、「法定後見制度」について考えていきたいと思います。

 法定後見制度は、既に判断能力の低下している方(以下「本人」といいます)を法的に支援する制度です。判断能力の低下度合いによって、後見・保佐・補助の3類型が制度化されております。本人や親族、市町村長等が、家庭裁判所へ制度利用の申し立てをすると、裁判所が、支援する方である成年後見人・保佐人・補助人(以下「後見人等」といいます)を選任します。支援される本人は、成年被後見人・被保佐人・被補助人といいます。

 後見人等は、親族の他、第三者である弁護士などの専門職や市民後見人、社会福祉協議会やNPO等の法人が行うことが一般的です。家庭裁判所に後見人等の候補者を推薦することはできますが、誰が選任されるかは、裁判所の専権事項です。したがって、本人のことを全く知らない第三者(親族以外の者)が選任されることもあります。最近の統計では、第三者後見人等の選任が約70%となっております。

 さて、法定後見制度利用者は、日本における成年後見制度利用者のうち、98%を占めております。残りは任意後見制度利用者です。

 先進国では、任意後見制度が一般的で、法定後見制度は、事前準備を怠った者が利用する制度と捉えられております。なぜなら、自己決定権を重んじる先進国では、判断能力が低下した後のことを自由に決めて、信頼できる方にお願いをしておくべきだとの考えが強いからです。

 とはいえ、認知症や障害により既に判断能力の低下があり法的支援を必要としている方は多数おります。その方々のために、法定後見制度は適切に活用されるべきです。

 成年後見人の職務(保佐人・補助人の職務は紙面の都合上割愛します)は、主に財産管理業務、身上配慮業務になります。財産管理業務としては、収支の管理(預貯金口座の管理、年金等の受領、公共料金や税金の支払いなど)、不動産の管理・処分などを行います。

 身上配慮業務としては、介護施設の各種手続きや費用の支払い、医療機関に関する各種手続き、障害福祉サービスの利用手続き、本人を訪問して生活状況の確認などを行います。誤解されている場合がありますが、成年後見人は、介護や家事援助などの労働行為、入院・入所時の身元引き受け・保証、手術時の医療同意などは業務外になります。

 なお、第三者後見人の場合には、家庭裁判所が決める報酬を支払うことになります。

 皆さんには、判断能力が低下をした際に、信頼して頼れる方がいるでしょうか? 人生の終盤を快適に過ごすためには、元気なうちの自己決定が大切です。次回は、「任意後見制度」について考えてみたいと思います。



弁護士 板橋俊幸 高崎市貝沢町

 【略歴】弁護士法人龍馬所属。群馬弁護士会高齢者・障害者支援センター委員長。一般社団法人認知症予防&サポート研究所アンクル理事。埼玉県出身。早稲田大卒。

2019/02/07掲載

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