事業を起こすきっかけ ビジョンを描ける仕事
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 皆さんは、仕事が楽しいと思えていますか? 私はというと、微妙でした。イラストレーターに憧れた時期もありましたが、才能のなさに気付かされ断念。何をしたいか見つからないまま、なんとなく接客業に就いて20代を過ごしました。

 職場はすてきな場所でしたし、仕事にやりがいを感じていましたが、夢も持たず何となく生きている自分に、一抹の不安を感じていました。この仕事は私に合っているのか。すぐ先の自分さえ想像できませんでした。

 迷子のアラサーは、心のわだかまりを解消したくて、職を転々としながら面白い求人をみつけます。あるテーマパークの手作り体験教室講師。それが運命の出会いとなりました。

 アイスクリームやソーセージ、キャンドルづくりなどが体験できる教室。お店で買っていたものが、自分の手で出来上がっていく過程と達成感を楽しめるアトラクションでした。お客さまは皆真剣で、とても楽しそう。非日常を提供してくれる場はたくさんありますが、これほどにも子どもから大人まで男女問わず楽しめる場所があったのかと、感動したのを覚えています。

 教室では、お客さまに付かず離れず終始寄り添うので、今まで断片的な接客をしていた私にとっては、とても刺激的でした。先輩から、講師のノウハウを学び、準備をして、もてなし、最後は期待以上で着地する。そして直接お礼や再来の言葉をいただける環境では、こちらの誠意がプラスで返ってくる感覚でした。

 先輩とよく話をしていました。「こんなすてきな仕事はなかなかないね。誰かの思い出の中にずっと残る仕事」

 涙が出るような感謝の言葉をたくさんいただきました。何度も足を運んでくださる方、結婚前に体験して、今度はお子さまを連れて来て下さる方、楽しいからこそ続く連鎖。仕事が楽しめるようになっていました。仲間にも恵まれていたと思います。みんなが同じ方向を向いていたから。

 しかし一昨年の冬、テーマパークは閉園、体験教室も幕を下ろすことになります。

 私は、大好きな世界を失いたくありませんでした。それからすぐに自分たちで体験工房をスタートさせます。

 工房には、教室があった建物の名前を付けました。当時できなかった、出張体験教室も対応しています。まだまだこれからですが、思いの詰まったこのお店を長く続けて、お客さまもスタッフも「楽しい」連鎖でつなげる―。それが私の仕事であり夢となりました。

 明日、職場に向かうのがおっくうな方、楽しいだけでは生きていけません。でも、自分の人生を潤すための仕事です。どうか苦痛の中に身を置かないで。自分の思う「楽しい」を見つけてみてはいかがでしょうか。



手作り体験工房「クラインフォーレ」運営 鳥山博美 渋川市赤城町見立

 【略歴】キャンドルアーティスト。高校卒業後就職。20代後半にテーマパークで体験教室講師。独立して2018年春、伊香保温泉に体験工房を構える。渋川市出身。

2019/02/10掲載

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