ALの三つの視点 形態より能動的学びを
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 新しい学習指導要領は、小学校では2020年度、中学校では21年度から完全実施され、高校では22年度から段階的に実施されます。

 今回の目玉はアクティブ・ラーニング(AL)の視点をもって授業を行うことです。多くの学校では授業の中でグループをつくって学習することと解釈しているようですが、その結果「ALは活動あって学びなし」「ALという名の新たな受け身の授業が始まった」などと揶揄(やゆ)されました。「グループ学習を取り入れなければALではない」「グループ学習にしておけば授業を見直す必要はない」などALを学習形態に着目して理解がなされたからでしょう。

 ALは、文部科学省の定義では「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」です。小中学校、高校では「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」を具体的に示し、それを意識した授業への改善を求めています。

 「主体的な学び」のためには、授業に興味、関心が持てるように初めに見通しを示し、達成に向けて粘り強く取り組ませ、最後に学習活動を振り返らせるような過程を経験させることです。

 「対話的な学び」のためには、あらかじめ個人で考えたことを意見交換したり、議論したり、する過程を経験させることです。新たな考え方に気が付いたり、自分の考えをより妥当なものとしたりすることができるようになります。

 「深い学び」のためには、新しく得た知識を既存の知識に結びつけて深く理解したり、得た情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したり、する過程を経験させることです。

 ALの視点を持った授業では、教師が知識を伝達・注入することで学習者の知識の量を増やしていくことより、知識と知識を相互に関連付けながら、考えを深めたり、判断したり、自分の考えを発信したり、する過程を経験させることが求められています。そのような方法で学ぶことで、日常生活や社会生活を送るときに必要な汎用(はんよう)的な能力を身に付けたり、社会生活における学び方を知ることができたりします。

 ALがグループでの学習と解釈されてしまったのは、文科省の定義の「教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である」を安易に解釈したからと思われます。大切なのは、学習形態ではなく、学習者が能動的になるような授業をいかに行うかではないしょうか。



明和学園短大教授 田口哲男 高崎市羅漢町

 【略歴】県内公立高で37年、理科教育や学校運営に携わり、2018年4月から現職。日本バレーボール協会公認講師。近著「高校生に確かな学力をつける」。同志社大卒。

2019/02/25掲載

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