スキー教室の子たち 失敗が生む成長と学び
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 先日、桐生市を拠点に活動する「かもしかスポーツクラブ」のスキー教室を微力ながらお手伝いさせていただきました。

 小学3年生のクラスで、宿泊を伴い、1日目、午前、午後、ナイター、2日目、午前、午後の計5回の講習をします。少々ハードに思えましたが、子どもたちにはむしろ足りないくらいのようで、悲鳴を上げたのは私の身体の方でした。

 私は主に初心者班のサポートに入ったのですが、最初は斜面を登ることもままならず、歩くだけでも転んでしまうような子どもが、徐々に滑れるようになり、転んでは立ち上がり、一生懸命練習している姿を見て、スポーツには「失敗を経験できる良さ」があるなぁとあらためて感じました。

 子どもたちの目的はただ一つ。「上手に滑れるようになる」目的達成のためには、転んだら立ち上がり、滑り直す、とてもシンプルな反復です。

 そして、一番すてきだと感じたのは、彼らは転んだことを失敗と思っていないことです。

 私が都内に住んでいた頃、愛犬の散歩コースに河川敷があり、そこでは幾つかのスポーツの練習が行われていました。そこで時々耳にしたのが「何度言ったら分かるんだ! 同じ失敗を何度もするな!」という大人たちの大きな声でした。

 スキー教室の子どもたちはスキル獲得のために、何度もチャレンジすることを覚えます。一方で、河川敷の子どもは、失敗を恐れることを覚え、楽しいはずのスポーツが苦痛に変わってしまうのではないでしょうか。

 私は高校3年のインターハイ決勝でハードルをぶつけ、順位を大きく下げました。その時は「取り返しのつかない失敗をした」と落ち込みましたが、後になってみれば、この失敗という結果はたいした影響はなく、そこから悩み、次に進んだことの方が、後の自分に良い影響を与えてくれています。

 大人になり、仕事を持てば、誰でも責任を抱え、簡単に失敗もできなくなります。しかし、仕事の上でも、失敗をしたからこそ学べた、ということもたくさんあると思います。

 失敗という意識すら持たず、チャレンジを繰り返すことは、子どもたちの成長過程において、とても大切な経験です。

 この経験は、スポーツを楽しみ、自発的な「うまくなりたい」という素直な欲求の上にのみ成り立つと思います。

 もちろん、初心者班の子どもたちは2日間の教室が終わる頃には、カルガモの親子のように指導者の後を気持ちよさそうに滑り、すてきな笑顔を見せてくれました。



川村学園女子大陸上部監督 岩崎利彦 高崎市九蔵町

 【略歴】陸上男子110メートル障害で日本人初の13秒台を記録。バルセロナ五輪出場。2018年春、川村学園女子大陸上部を本格始動させた。桐生南高―順天堂大―富士通。

2019/03/08掲載

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