インバウンドと交通 高崎駅を「ハブ駅」に
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「ハブ」とは、道路、鉄道など路線の集まる交通拠点のことをいいます。群馬県は日本の中央部に位置し、空港こそありませんが、新幹線、高速道路が網の目に広がる交通の要所であります。特に高崎駅は、東京から新幹線で50分、在来7路線の他に上越新幹線、北陸新幹線の2路線が乗り入れています。

 ところで、ジャパン・レール・パス(通称JRパス)という切符があることをご存じですか。日本国以外からのインバウンドを対象に、JRグループ各社が運行する鉄道(新幹線を含む)、路線バスが乗り降り自由に利用できる特別企画乗車券です。外国から観光目的で訪れる短期旅行者が対象です。販売価格は7日間で約3万円と大変に格安で、訪日外国人急増の一因となっています。

 私は、高崎駅近くでゲストハウスを運営していますが、数多くの多彩な外国人旅行者がこのパスを利用して来ています。それで新幹線を使い、群馬県内は無論のこと、東京、金沢、長野、新潟、日光、と日帰り旅行を楽しんでいます。人気の観光地は草津温泉、軽井沢、野猿公苑(スノーモンキー)、あしかがフラワーパーク、ガーラ湯沢等と2、3時間の移動時間は苦にせずにパワフルに行動しています。重いトランクを預けて身軽な状態なので、自由に動き回ることができるのです。

 そのようなことから私は、高崎駅は日本の中心「ハブ駅」になり得る存在だと考えます。しかしインバウンドのニーズが高いにもかかわらず、われわれ受け入れ側の準備はまだ十分とは言えません。駅の構内は外国語表記が少なく、英語・中国語等の多言語の表記を積極的に増やす必要があります。時刻表の地名をアルファベット併記にするだけでも改善します。駅では誰でも利用できる公衆無線LANの整備も重要です。

 交通機関の円滑な接続も課題です。せっかく東京から短時間で到着してもバスや在来線の乗り継ぎが悪いのでは話になりません。高崎駅から直接観光地を結ぶ温泉バスパック(例えば草津・四万・伊香保温泉めぐり)があれば、訪日客だけでなく、日本人の高齢者にも喜ばれるサービスになります。

 ハブ駅になるには、観光案内所での訪日客向けパンフレットの充実、SNSの利用、新しい観光ルートの開発、地方都市ならでの名産品・工芸品の販売広場、名物料理が楽しめるフードコート等、サービスの開発が求められます。

 訪日客のトレンドを見ると行動範囲が広く、長期滞在し、また経済力の向上とともに、団体旅行から個人旅行に移りつつあります。個人旅行の増加は鉄道の利用者の増加につながります。バス・レンタカーの起終点駅としてもこれまで以上に高崎駅を「ハブ駅」として充実させることが重要ではないでしょうか。



元群馬高専講師・ゲストハウス運営 生形健司 高崎市東町

 【略歴】ゲストハウス運営の傍ら、NSM資格審査委員、ウイングユー社長を務める。技術士。元東京都職員、群馬県職員、群馬高専講師。群馬高専―慶応大法学部卒。

2019/03/14掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事