20代を有意義に 経験と実践で未来開く
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 「人生は20代で決まる」という米国の臨床心理学者であるメグ・ジェイ氏の本を読んだ。人生を決めてしまう大きな出来事の約80%は35歳までのうちに起こり、性格に関しても20代ほどの変化を見せるときはないということなどが書かれていた。

 読み終わった際、コーネル大に編入した当初、「成績、友人関係、睡眠。アイビーリーグ級の大学なら、この三つのうち二つを補えればいい方だよ」と言われたことをふと思い出した。貴重な20代を有意義なものにするには、さまざまな経験を通して自分自身のアイデンティティーの土台を築くことが求められている。

 卒業後の進路に対して希望や不安を抱きながら悩むことは、日本や米国に限らず、どこの国の学生にも共通している。特に日本では、昨年経団連が就活ルールを廃止する意向を示したことにより、今まさに過渡期を迎えている。採用時期の制約がなくなり、企業の採用方法などが見直されることは、日本社会で若者がどのような20代を過ごすべきかについても見直す絶好の機会である。

 就活ルール廃止に対しては、さまざまな意見がある。「勉強する時間がおろそかになってしまう」「学生らしいことをする時間がなくなる」という反対意見もあるが、そもそも就職活動と学業を全く別々のものとして捉える考え方に疑問を感じる。私を含め留学先で知り合った学生は、就職活動はあくまでも勉強の延長線だという認識がある。

 米国の大学に通う多くの学生は、夏休みの間にインターンシップを経験する。米国では、企業がインターンや従業員を募集する際、職務記述書を表示している。学生は、そこに記載されているスキルや応募条件に見合うような授業や資格を取ったり、課外活動の中で協調性やコミュニケーション能力を養ったりする。

 私の通っている大学には、ホテル学部の学生が中心となって経営しているホテル、農学部の農場、獣医学部の動物病院や美術学部のアトリエなどが存在し、積極的に将来のキャリアを構築するための学びの場を提供している。

 学生の中には、理想の職業だと思っていた業種が実際に体験してみると想像とは全く違っていたり、向いていないと思っていた仕事がインターンシップをしてみると意外と面白く、そのままオファーをもらって卒業後に就職するという場合もある。

 最近では、1本のはしごを登るようなキャリアだけではなく、ジャングルジムのようなキャリアを歩む人も多くなってきた。働き方が多様化する中で若いうちから実践的な環境に身を置くことは、自分自身のアイデンティティーを構築し、情熱をささげることができる職業を見つける重要な鍵となることは間違いない。



コーネル大農業・生命科学部学生 沢浦えくぼ コーネル大農業・生命科学部学生

 【略歴】共愛学園高を卒業後、米国オレゴン州ポートランドに留学。現在、コーネル大で農業ビジネスを中心に勉強中。食で世界中を幸せにすることが夢。昭和村出身。

2019/03/18掲載

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