病が教えてくれたこと ライフを咲かす会社に
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 桜の季節にはいつも、当社が社名に込めた原点の思いがよみがえります。

 それは、「苦しみの中にある人の、ライフを咲かす(サカス)仕事がしたい」というものです。

 会社員生活も10年が過ぎた私がこの思いを得、一念発起して退職・創業に至るまでには、自身を駆り立てる原体験からの学びがありました。

 本日はその話をします。さかのぼること数年前、33歳で結婚後、「そろそろ子ども?」と思い始めた37歳の時、私の人生に唐突に訪れたのは、乳がんでした。療養が進み、復帰の道筋が見え始めたころ、さらに今度は、不妊を宣告されるという経験もしました。

 正直なところ、子どもは自然に授かると信じていた私が不妊を突きつけられた衝撃は、生死が関わるがんと同等か、それ以上のインパクトをもたらしました。

 そこから私は創業し、同じように苦しむ当事者、葛藤を越えてきた経験者の、うそ偽りない真実のストーリーを集めることにしました。

 ストーリーは、「UMU」というウェブメディアになりました。

 不妊治療をして授かった女性、治療の「終結」を選んだ女性、養子縁組をしたカップル、治療を支えるパートナー。あるいは、子を持たない選択をしたカップル。

 立ち上げて見えたのは、自身が直面したこのテーマの、本当の奥深さでした。

 三十数年の間、自分がどれだけ「当たり前に産めるはずの未来」を描き、それがいかに傲慢(ごうまん)なことだったかを、痛みとともに思い知ったのです。

 かたや、それまで私が見ようとしてこなかっただけで、世の中には色とりどりの人生の選択、そして無数の家族の形があることも、初めて気づくことができたのです。

 その鮮やかな世界を知った私は、知る前の私に比べ、生きることが楽になりました。

 ただ同時に、もう一つ痛感することがありました。それは、「私たちは自分の体のことを、あまりにも知らない」という事実でした。

 中でも女性は男性以上に、女性ホルモンやライフステージの影響を如実に受ける生き物です。ですから、しかるべき年齢で人生を選び取るためには、心身についての正しい知識が必要なのです。

 ここで、キーワードを一つご紹介します。「ヘルス・リテラシー」いわば、「自分の体を正しく知り、時々に必要な健康情報を入手・活用できる能力」のことです。

 「健康を決める土台の力」とも言われ、働く女性にとってはとくに、仕事と人生をともに充実させるための必須スキルであるとして、近年重要視されています。

 次回はこのヘルス・リテラシーについて、統計データなども用いながら、理解を深めていきたいと思います。



ライフサカス社長 西部沙緒里 東京都荒川区

 【略歴】博報堂でマーケティングなどを経験。群馬イノベーションアワード2015ファイナリスト。16年に妊活や女性の健康を支援するライフサカスを起業。前橋市出身。

2019/03/26掲載

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