演奏会の空気 生で感じる無二の魅力
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 日本国内には、群馬交響楽団などのプロのオーケストラだけでなく、各都市・各地域の市民オーケストラ、また高校・大学内の部活動・サークルで活動している学生オーケストラ、そして主に小学生・中学生からなるジュニアオーケストラなど、各種たくさんのアマチュアオーケストラが演奏活動を行っています。

 もちろん各オーケストラによって活動の規模や内容には差があると思いますが、プレーヤー・メンバーは演奏会の本番に向けて練習を日々重ねているはずです。そしてオーケストラの響き・サウンドが毎日、日本中のどこかで奏でられていると言っても過言ではありません。

 しかし、各演奏会で取り上げる曲目・プログラムについては群響もそうですが、どのオーケストラも過去に演奏したことのあるものがほとんどであります。それも1度だけでなく、何度となく演奏してきた作曲家・作品をまた取り上げるのです。このことは、室内楽やソロ等の他のクラシック音楽における演奏会でも同様でありますが。

 ここで一つ疑問が出てきます。同じ曲を何度も演奏することについて、演奏者もそうですが、聴く側のお客さまも飽きないのか、という点です。まさにこれが不思議なことに「飽きない」のであります。これにはさまざまな要因があります。

 まずは少し堅苦しい説明ですが、根底にある音楽という芸術の特性、すなわち「時と場所を限定した瞬時の演奏によって表現されて、それがただちに消滅してしまい形として残らない瞬間芸術である」という点です。

 この点から、演奏者・聴衆の双方ともに、またあのような時間・体験をもう一度味わいたいと思う、リピーターが数多く存在することにより、「飽きる」ことなく繰り返されていると言えます。曲目・指揮者を含む演奏者・会場と聴衆、これらが全て同じだとしても二度と同じ演奏をすることはできないのです。

 また別の要因としては、逆にこれらの何か一つ、例えば指揮者が違えばオーケストラと曲目が一緒でも全然違う演奏になってしまうということがあります。そういう二度と体験できない希少さ、千載一遇の機会に触れる魅力から演奏会が、日本のどこかで日々開催されるのです。

 現代社会では、音響産業の分野における格段の進歩・技術革新によって、録音・録画などの再現をすることにおいて、生の音とほぼ遜色なく再生することが可能です。しかしクラシック音楽に限らず、他のジャンルのコンサート・ライブでもよく言われる臨場感、演奏会場の盛り上がりや雰囲気・熱気等は、実際その場所にいないと感じることができないものだと言えます。

 ぜひともこの空気を感じに演奏会に足をお運びいただければ幸いです。



群馬交響楽団常務理事兼音楽主幹 渡会裕之 高崎市中豊岡町

 【略歴】群馬交響楽団で30年間、バイオリン奏者として活躍し、2018年4月から現職。東京都出身。中之条一中、渋川高時代に移動音楽教室を体験。国立音楽大卒。

2019/04/06掲載

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